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< 講座テキスト >
菊池康郎師、溝上知親九段
第1回
「人真似はしない その1」
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今回は「人真似はしない その1」です。
緑星学園の師弟、菊池康郎師と溝上知親九段が担当します。
布石は正解が一つとは限りません。棋風によって、いろいろな考え方が成立するものです。菊池推奨の手と溝上推奨の手を示して、それぞれ解説をしていきます。みなさんも自由に考えて、自分なりの布石を楽しんでください。
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【テーマ図・黒番】 |
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布石は一局の骨組みを作るときです。自由な発想で楽しみましょう。読みの裏づけがあると、棋力アップにさらに効果的です。
いま、白1とカカったところです。黒はどう応じるものでしょうか。
Aの一間受けは、素直な手です。Bのヒラキは下辺からの模様を重視した手と言えるでしょう。Cのハサミは厳しい強い手です。
全局的に、どういう考え方で構想を立てるのか、それが大切です。次の一手とそのあとの進行を考えてください。
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(B=菊池推奨)
黒1(B)は、下辺から右辺にかけた黒の模様を重視する発想です。白2と三々に入ってくれば、黒3の方からオサえて7まで模様を拡大します。この黒7は大切な手です。手を抜いて、白aとマゲられては、黒が窮屈になります。こういうところは逃せません。また、白2で、(次の図へ…)
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白1と両ガカリしてきたら、黒2のコスミが分かりやすい。白3の三々には、やはり黒4の方からオサえて6のトビで、あくまで模様拡大を目指します。力の強い人は、黒6でaとカケてもいいでしょう。黒2で、(次の図へ…)
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黒1、3のツケノビもあります。黒7までの定石で一段落です。白は右辺を消していますが、黒は上辺が厚くなり、これも十分です。
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(A=溝上推奨)
黒1(A)は、白2のヒラキなら黒3と右辺にヒラいて、理想的な構図になります。ですから白2では、(次の図へ…)
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白1のワリ打ちを選択するかもしれません。その場合は、黒は2の方からツメて、白3のヒラキに黒4と構えます。白5の三々は大きいですが、白11までで先手を取った黒は、次に黒12とスベるのが大きいでしょう。このあと白13のトビなら、黒14とカカってどんどん先行します。また、黒12では、(次の図へ…)
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黒1から、右辺の白を攻めるのもあります。白2のトビに、黒3とボウシして攻めを続行します。棋風によっては、こういう積極策もいいでしょう。
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黒1(C)は積極的な手ですが、この場合は白2のカケがいい手になります。黒3に白4と戻って、ここの白の厚みが、下辺からの黒の模様形成を阻んでいます。このあと黒5とカカれば、白6とハサみます。黒は7と三々に入るくらいですから、白14まで上辺の白が厚くなるでしょう。黒15で一段落ですが、次に白16のカカリがいいところです。
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布石は全局を見て、大事にする方向を見極めるのが大切です。また、人真似ではなく、自分の発想で碁を創っていくことを心がけましょう。それが布石の楽しみでもあります。菊池推奨の手と溝上推奨の手が一致しないのは、個性を大切にする緑星流としては、むしろ自然なことです。みなさんも自分流の布石を楽しみましょう。 |
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