中国囲碁ニュース
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三星杯ワールドマスター戦は設立されて以来、常に新しい試みに挑戦し続けている。2020年新型コロナウイルスの影響を受け、囲碁史上初のネット国際棋戦となった。10月27日から11月3日にかけて、試合は中国棋院、韓国棋院、日本棋院、台湾棋院で同時に開かれた。驚異的なスピードで32強から優勝を決めるつもりだ。
まだ向かい合って対局ができた時、三星杯は45歳以上の元老棋士と女流棋士にそれぞれ本戦の二枠を提供していた。しかし、統合予選ができなくなった今、元老枠は日韓それぞれ一枠ずつ、女子枠は中韓にそれぞれ一枠ずつとなった。特殊時期でしか見ることのできない一興を添えた試みだ。かつての王者李昌鎬九段(45歳)は初めて元老として出場し、昔を彷彿とさせた。しかし、このような今の棋界で主戦力とは言えない棋士たちは皆第一回戦で敗退している。
まだかつて世界優勝をしていないと残念がっている連笑九段(26歳)は、第二回戦で韓国の第一人者の申真諝九段(20歳)と対面した。一度優勢を握ったが、一手のミスを犯した。人工知能の見せた勝率からすれば、勝負はまだ決まっていなかったが、連九段は動揺を隠せなかった。マウスが碁盤にクリックできなかったことを受け、あっさりとタイムオーバー負けを認めた。対局が終わってはじめて本当のことを知り、彼は相当悔しがった。しかし、結果はもう変えられない。
だが、申九段もつらいだろう。8強に入った韓国棋士は彼しかいなかったからだ。日本の一力遼八段(23歳)も中国、韓国の二人の強豪に勝ち、8強に入った。中国は8強のうち、6枠を占めた。申九段は、自分が韓国囲碁の最後の砦だと気づき、時越九段に逆転勝ちし、また準決勝戦では謝爾豪九段(22歳)に勝ち、窮地から脱出した。決勝戦では中国の第一人者柯潔九段(23歳)と頂上決戦を繰り広げた。
しかし、まさかこの決戦を左右するのがネットテクニックとはだれも思わなかった。決勝戦の三番勝負が始まって早々、申九段のマウスのケーブルが誤ってキーボードに触れ、石を碁盤の一線に落としてしまった。それは一手パスをしたも同然だ。このような滑稽なことが国際棋戦の頂上決戦で起こったとは、千年前の棋道を誇りに思った先哲たちはどう思うだろう。
1局目で早くも失敗した申九段は第2局でも柯九段に半目の差で逆転された。これで、柯九段は「少なくとも年に一つの世界優勝」という目標を達成し、世界囲碁界の「八冠王」となり、中国の古力九段(38歳)と肩を並べた。
(記事/写真:易非)
20世紀1980年代から、中国囲碁は毎年大手合を行っている。近年では、囲碁を習っている子供たちが参加できるように、その期間を7、8月の夏休みの期間に手配するようになっている。だが、2020年は新型コロナウイルスの影響で、8月に山東省日照市で行われる予定だった全国囲碁定段戦の方案が国家体育総局に却下された。その後、方案が書き直され、ついに許可を得た。10月10日から17日にかけて、江蘇省無錫市で定段戦(大手合)が行われた。
不思議なことに、参加人数は大幅に減ったが、定段人数枠に変わりはない。25歳以下(25歳含む)が参加する「青少年男子グループ」及び「青少年女子グループ」の人数は例年通り20人と10人で、通過率が応募人数の10%の「成人男子グループ」と「成人女子グループ」(25歳以上)に加え、2020年に誕生した中国囲碁界の新初段は驚異の35名に達した。
しかし、新初段が増える一方で、棋戦の数は減る一方だった。2020年、中国のプロ囲碁棋戦は例年の五分の一にも達していない。全プロ棋士が参加できる個人戦、昇段戦、団体戦(丙級)及び棋聖戦、竜星戦、倡棋戦予選はすべてなくなった。この35名の新初段が登竜門を超えプロになったとしても、いきなり自分が参加できる棋戦があまりないということに気づくだろう。それと同時に、中国囲碁協会は各地でトップクラスのアマチュア大会を開催することに力を入れている。このままでは、中国囲碁界の未来に対し、心配せざるを得ないだろう。
35名の新初段リスト(名前・出身・出生年月日)
青少年男子グループ
王楚軒 上海 2006年9月10日
許一笛 浙江台州 2007年6月27日
于蘇豪 重慶 2002年8月16日
劉湯灏 江蘇揚州 1996年2月28日
肖澤彬 湖南湘潭 2006年10月19日
丁以宸 福建南平 2004年11月25日
胡世奇 河南信陽 2004年8月11日
叶長欣 江蘇徐州 2007年2月19日
曹振宇 江蘇徐州 2003年1月16日
張柏清 陝西西安 2004年1月16日
高逸典 上海 2001年5月7日
于靖冬 遼寧沈阳 2000年2月2日
劉若浩 安徽馬鞍山 2004年3月3日
朱彦臻 江蘇靖江 2007年11月20日
林子傑 福建福州 2008年4月5日
唐天源 湖南長沙 1999年1月23日
林家翾 重慶 2006年7月18日
李承澤 河北唐山 2007年4月13日
趙後金 江蘇徐州 1999年12月22日
張羅子辛 湖北武漢 2004年6月1日
青少年女子グループ
徐海哲 江蘇鎮江 2008年6月11日
厳惜驀 江蘇南京 2007年5月11日
馮盛敬悦 遼寧鞍山 2006年11月21日
馮韵嘉 北京 2007年1月15日
陳晨 浙江温州 2002年6月21日
周雨萱 湖南長沙2007年2月1日
丁柯文 浙江台州 2006年10月3日
秦思玥 上海 2006年5月8日
任可 湖北武漢 2003年10月25日
岳佳妍 河南洛陽 2007年10月28日
成人男子グループ
張夢石 河南洛陽 1992年3月27日
周恒逸 湖南長沙 1994年10月10日
王天一 陝西西安 1993年2月3日
黄星燦 江蘇蘇州 1990年10月11日
成人女子グループ
厳凱瑾 上海 1992年2月22日
(記事/写真:易非)
四年に一度の「囲碁オリンピック」応氏杯はもとより2020年4月に中国で行われる予定だったが、新型コロナウイルスの影響で延期された。半年近くの準備をして、9月8日から11日まで、第9回応氏杯の前3回戦はネットホーム「テンセント野狐囲碁」で行われた。この長い歴史を持つ国際棋戦は、初めてネットを通じて行われた。棋戦が順調に進むようにネットホーム側は、応氏ルールに合わせて「時間超過に罰則を科す」などの技術を取り入れた。
参加棋士は総勢30名で、12名は北京で、7名はソウルで、6名は東京で、3名は中国台北で、また2名の欧米棋士はイスラエルとアメリカの試合場で棋戦に参加した。第1回戦では、芈昱廷九段(24歳)がコウを争う中、思わず間違ってしまったせいで、勝勢があっという間に敗勢となった。そして李立言初段(26歳)はパソコンのスクリーンセーバーが起動したとき、取り消そうとクリックしたら、誤って碁盤に触れて間違ったところに打ってしまった。芝野虎丸九段(20歳)はダメを詰める時ミスをしたが、対戦相手の楊鼎新九段(21歳)はそれを受け取らなかった。これらはおそらくネット対局でしか起こらない話だろう。
3回戦の後、ほとんどの年配棋士は負けてしまっていた。前回の優勝、準優勝の唐韋星九段(27歳)と朴廷恒九段(27歳)は出場したとたん、陶欣然八段(26歳)と趙晨宇八段(21歳)に負けてしまった。応氏杯の前回王者は、二度とその力を発揮できないという謂われはまだ存在しているようだ。また、中国の第一人である柯潔九段(23歳)は8強戦で謝科八段(20歳)に負けた。時代の寵児も大いに悔やんだだろう。
結果、4強に進出したのは中国の趙八段、謝八段、日本の一力遼八段(23歳)及び韓国の申真谞九段(20歳)だった。四人とも応氏杯に参加するのは初めてだ。また、20年ぶりに一力八段は日本棋士として応氏杯の4強入りを果たした。このような組み合わせには興味を持たずにはいられない。
(記事/写真:易非)
もともと春に開かれる中国囲碁甲級リーグ戦は、2020年に新型コロナウイルスの影響により何度も延期された。8月23日にやっと浙江省湖州市長興県で正式に行われた。試合ルールも大きく変わった。主流であったホーム・アウェー規則は、主管部門の感染対策要求により取り消され、2段階の集中対局をすることになった。第一段階は8月24日から9月1日までの九日間で8回戦をするという前例のない過酷な試合日程だった。
2020華為携帯杯中国囲碁甲級リーグ戦には16チームが参加した。また、レギュラーシーズン、ポストシーズンという制度を採用した。レギュラーシーズンは15回戦のトーナメント戦で、ポストシーズンは8回戦の階段式進級戦で、優勝を争うグループと現在のランクを保つグループにわけられる。2019年と比べると、上位6位の決定戦は三番勝負から二番勝負に変わった。16チームのうち、柯潔九段(23歳)がいる厦門チームの冠名スポンサーが北京民生クレジットカードに変わり、元の民生銀行北京チームは去年降格された深圳チームと合流した。また、天津に所属したチームは山西チームになり、上海チームも范蘊若八段の逝去により、その気勢が大いにそがれた。
8回戦の後、今年の囲碁甲級リーグネット練習試合の優勝チームである江西チームが第一位をとり、若者の気勢を示した。優勝防衛の蘇泊尔杭州チームと王者重慶チームが後にぴったりとついている。これからの激戦の様子が想像できる。次の試合は12月に行われる予定である。
各チーム棋士リスト:
チーム名 | 棋士 | 外国人選手 | コーチ |
---|---|---|---|
蘇泊尔杭州チーム | 連笑九段(26)、李欽诚九段(21)、謝科八段(20)、汪濤六段(30)、呂立言四段(19) | 申真谞九段(20) | 汪濤六段 |
龍元明城杭州チーム | 邬光亜七段(30)、夏晨琨七段(25)、丁浩六段(20)、紀祥四段(21)、陳翰祺四段(20) | 李東勲九段(22) | 郭聞潮五段(31) |
北京チーム | 柯潔九段(23)、范胤八段(22)、孙腾宇七段(28)、屠暁宇六段(16)、陳豪鑫五段(16) | 聂衛平九段(68)、趙哲伦四段(35) | |
江蘇チーム | 芈昱廷九段(24)、趙晨宇八段(21)、陳賢八段(23)、黄雲嵩七段(23)、黄昕五段(24) | 丁波五段(50) | |
上海建橋学院チーム | 胡耀宇八段(38)、李維清八段(20)、劉世振七段(43)、王星昊五段(16)、黄明宇四段(18)、黄春棋四段(17) | 劉世振七段 | |
成都チーム | 党毅飛九段(26)、廖元赫八段(20)、古灵益七段(29)、馬逸超五段(22) | 朴廷桓九段(27) | 宋雪林九段(58)、李亮五段(48) |
江西チーム | 辜梓豪九段(22)、許嘉陽八段(20)、彭立尧七段(28)、楊楷文七段(23)、鄧威初段(20) | 卞相壹九段(23) | 李康六段(33) |
深圳チーム | 時越九段(29)、陶欣然八段(26)、戎毅六段(26)、沈沛然六段(18)、石豫来三段(18) | 申旻埈九段(21) | 羅洗河九段(42)、李雲生三段(44) |
重庆チーム | 古力九段(37)、謝赫九段(36)、楊鼎新九段(21)、李轩豪七段(25)、何語涵六段(21)、李翔宇五段(22) | 古力九段、陳為三段(44) | |
山西チーム | 唐韋星九段(27)、謝尔豪九段(22)、王泽錦六段(21)、陳正勲五段(22)、李雨昂三段(21) | 李魁三段(40) | |
浙江チーム | 檀啸九段(27)、張濤七段(29)、童夢成七段(24)、蒋其潤六段(20)、蓝天四段(30) | 蓝天四段 | |
日照チーム | 周睿羊九段(29)、江維傑九段(29)、范廷鈺九段(25)、伊凌濤八段(20)、崔燦五段(22) | 芝野虎丸九段(20) | 曹大元九段(58) |
拉萨チーム | 陳耀燁九段(30)、柁嘉熹九段(29)、張强六段(29)、蔡竞六段(27)、陳浩六段(26) | 姜東潤九段(31) | 陳盈初段(37) |
天津チーム | 孟泰龄七段(32)、李成森五段(20)、王世一五段(19)、黄静遠四段(20)、尧潇童二段(20) | 李亜春七段(58) | |
衢州チーム | 韓一洲八段(23)、李喆六段(31)、陳梓健七段(20)、丁世雄五段(22)、蔡文鑫二段(18) | 金志錫九段(31) | 常昊九段(43)、許頓二段(39) |
上海清一チーム | 廖行文六段(25)、許皓鋐六段(19)、曹潇阳五段(28)、陳一纯四段(18)、成家业三段(18) | 羅玄九段(25) | 劉轶一初段(46) |
(記事/写真:易非)
第21回農心杯三国囲碁勝ち抜き戦は新型コロナウイルスの影響で、何度も延期された。2020年8月になりようやく例年より半年も遅く勝負がついた。そのうえ、ネット対局に変更した途端、朴廷恒九段(27歳)が故障によりタイムオーバーする事態が起きたので、第22回農心杯が無事行われるかどうか不安の声が広がった。
だが、主催側の韓国棋院の全力推進のおかげで、第22回農心杯は予定通りに2020年10月13日に行われた。韓国国内の予選は9月の末に終わったばかりにもかかわらず、次の試合との間隔がたった2か月なのは農心杯の歴史上でも類を見ない。
試合はやはりネット対局で、三カ国の棋士たちはそれぞれ韓国棋院、中国棋院、日本棋院の対局室でパソコンを使って対戦した。各国間の通航が限られている今、このような対局方法はいつまで続くのだろうか。
そして、ネット対局は常に予想外の事態を巻き起こす。今回はアクシデントこそなかったが、二度も7連勝をとった中国の先鋒、范廷鈺九段(24歳)が、農心杯初出場の韓国の洪基杓九段(31歳)に負けてしまった。一方、日本チームの先鋒、許家元八段(22歳)は洪九段に完勝した。しかしその次の対局は、勝率が五分五分で形勢がまだわからない局面のもと、動揺したのか中押し負けになってしまった。この出来事には、一同驚きを隠せなかった。中国チーム副先鋒の辜梓豪九段(22歳)は、一命をとりとめてから、韓国の姜東潤九段(31歳)に勝ち、しっかりと勝利を収めた。
(記事/写真:易非)
王中王囲碁争覇戦は2019年に中国で創立された新しい棋戦であり、前年度の優勝賞金が最も高い8つの棋戦で優勝した棋士だけが参加できる棋戦だ。馬暁春九段(56歳)の故郷である浙江省嵊州市で行われ、第一期優勝者は謝爾豪九段(22歳)だ。
もともと2020年3月に開催する予定の第2回王中王戦は、新型コロナウイルスの影響により10月10日から12日に延期された。またルールも変わり、2回負けたら失格というルールから、トーナメント制(1度負けたら失格)となった。参加する資格を得た8名の棋士は、百霊杯/棋聖戦/倡棋杯優勝者の柯潔九段(23歳)、三星杯優勝者の唐韋星九段(27歳)、LG杯優勝者の楊鼎新九段(22歳)、天元戦優勝者の連笑九段(26歳)、名人戦優勝者の芈昱廷九段(24歳)、阿含桐山杯・威孚房開杯優勝者の范廷鈺九段(24歳)、CCTV杯優勝者の丁浩六段(20歳)及び前年度優勝者である謝爾豪九段だ。竜星戦優勝者の江維傑九段(29歳)は、優勝賞金が他棋戦よりも低かったため今回の王中王囲碁争覇戦に参加できなかった。
ペースが速い対局は柯九段に有利だ。第1、2回戦では芈九段と范九段に瞬く間に勝利し、決勝戦でも強敵の唐九段を負かし、初の中国囲碁の「王中王」となった。これをもって四年間中国囲碁ランキング1位を占めている自分の実力を再び証明した。第2回の王中王戦の優勝賞金、準優勝賞金は70万元、20万元(約1100万円、310万円)である。
(記事:易非/写真提供:sina)
2018年に創立された呉清源杯世界女子選手権は、2020年で第三回を迎えた。新型コロナウイルスの影響で、今年行われた国際女子囲碁棋戦はこれだけだった。対局もネット対局になった。参加棋士は世界各地にいるので、9月27日の第1ラウンドは、中国の福州、中国台北、日本の東京、韓国のソウル、アメリカのニューヨーク、アメリカのニュージーランドブリッジウォーター、ロシアのモスクワ、フランスのグルノーブルの八か所で同時に行われた。
過去の2回とも韓国の女流棋士が優勝したが、第3回は、ようやく中国が活躍する機会がやってきた。この棋戦を「師匠杯」と呼ぶ呉清源九段(1914-2014)の弟子芮廼偉九段(56歳)と、王晨星五段(29歳)、於之瑩六段(22歳)、周泓余六段(17歳)と全て中国勢が4強に進出した。周六段は韓国女子三強の金彩瑛六段(24歳)、呉侑珍七段(22歳)に連勝し、その驚異的な成長ぶりを見せた。そして、中国チームがもっとも感謝すべきは、日本棋士の上野愛咲美三段(19歳)かもしれない。世界女流最強と言われる崔精九段(24歳)を負かした時、中国研究室で歓呼の声が挙げられた。
中国囲碁協会と福州市人民政府が主催するこの棋戦は、9月27日から29日まで3回戦が行われた。準決勝戦では芮九段vs周六段、王五段vs於六段という対戦になっている。これらの対局は11月30日、すなわち呉清源九段の命日に行われる予定である。
(記事/写真:易非)
中国CCTV杯テレビ早碁棋戦は、30年にわたり北京で行われている。しかし、2020年は新型コロナウイルスが流行し、棋戦に大きな影響を与えた。北京は大規模な対面対局を行うにふさわしくないと判断され、主催者の浙江省平湖市の力を借りて、9月21日から24日までの対局はすべて平湖に移された。また、参加人数も64人から32人に削減された。
今年はちょうど「当湖十局公園」開園の年ということもあり、平湖市政府は当湖のそばに囲碁をテーマにした公園を設けた。この公園に多くのプロ棋士が来場することで、ますます栄えていくだろう。今期の優勝賞金は、25万元(約390万円)から30万元(約470万円)に増額された。
早碁は、何が起こるかわからない。若い世界チャンピオンである楊鼎新九段(22歳)は、1回戦で32人のうち最年長の孟泰齢七段(33歳)に負けた。また、前回の優勝者である丁浩六段(20歳)も優勢を握りながら、一手の間違いで中堅棋士の陶欣然八段(26歳)に逆転された。四日間で5回戦の対局を行い、辜梓豪九段(22歳)は準決勝戦で「一・一」の鬼手で優勝有力候補の柯潔九段(23歳)に勝った。また、決勝戦では連笑九段(26歳)に勝ち、今年度の早碁王の名称を得た。
例年は、中日韓三国のテレビ早碁棋戦の優勝・準優勝者を集めて、アジアテレビ早碁王を決めるが、2020年は新型コロナウイルスの影響で未だに三国間で自由通航が実現していない。アジア杯の対面対局の伝統を守るため、今年の中国主催のアジアテレビ早碁棋戦は一年延期することになった。
(記事:易非/写真提供:sina)
第21回農心杯三国囲碁トーナメント戦の第三段階は、もともと2020年2月の末に中国の上海で行われる予定だった。しかし、新型コロナの影響により5月の初旬に延期されたと思いきや、その後も二度延期され、ようやく8月18日から22日までネットで対局することになった。三か国の棋士たちは、中国の天元囲碁チャンネル、日本の囲碁将棋チャンネルおよび韓国の囲碁テレビを通じてインターネット上で対局した。
今回の農心杯では、中国チームは優勢を保っていた。楊鼎新九段(22歳)は先鋒として七連勝を手に入れた。日本側は、主将の井山裕太九段(31歳)が楊九段を食い止めたが、一人で戦うこととなった。韓国チームも主将の朴廷桓九段(27歳)だけが残った。そして、日韓の主将は第三段階の第一局目で会うことになった。このような状況は、過去に二度起きている。そして、2回とも朴九段が井山九段に勝ち、そして、中国の二番手である范蘊若八段(1996-2020)と党毅飛九段(26歳)に負けている。当時を思い出すと、亡くなったばかりの范八段が追想される。
中国では、「同じことは三度起こらない」という言葉がある。朴廷桓九段は、再び井山裕太九段に勝った。過去のように、今回も中国棋士の出場により試合が終わってしまうのだろうか。新型コロナの影響で、中国棋士は公式試合での対局が少なくなり、感覚が鈍っているようだ。芈昱廷九段(24歳)や范廷鈺九段(24歳)、謝尓豪九段(22歳)がみな朴九段に負けたことにより現場に緊張感が走った。
8月20日、朴九段と范九段の対局がヨセに入った頃、朴九段がリードしていたにもかかわらず、突如時間切れ負けという事態が起こった。その原因は、マウスもしくはパソコンにあるか、それともネット、プラットホームにあるのか未だに判明していない。3時間にも渡る話し合いの後、中韓双方が翌日の午前にもう一度対局することで合意した。翌日、朴九段は実力を発揮し、勝利を収めた。しかし、このような事態は、国際棋戦のネット化にとって大きな課題をもたらした。その影響もこれから徐々に現れてくるだろう。
8月22日に、4日間で「五勝」を勝ち取った朴九段が、ついに中国チームの主将である柯潔九段(23歳)と対戦する。この対局は、2020年に見逃してはいけない大勝負だ。両者とも全力を出し、結果、勝負を決めたのは僅か半目の差だった。観客は十分堪能しただろうし、関係者は冷や汗をかいただろう。柯九段は、この半目の差でなんとか勝利し、中国チームを8度目の農心杯優勝に導いた。
(記事/写真:易非)
第11回中国囲碁竜星戦は、2019年12月に北京で開かれた。当時の北京は、初雪で辺り一面真っ白だったが、中国棋院の試合会場は全国から来た百名もの棋士で暖かかった。5ラウンドの予選を経て、40歳以上グループ、30-40歳グループ、20-30歳グループ、20歳以下グループ、及び女子グループから14名の棋士が選ばれた。彼らは、8名のシード選手とともに本戦で戦う。今回の中国竜星戦本戦は、奕招囲碁(元囲碁TV)で収録された。奕招囲碁は、劉星七段(35歳)が出資して創立した囲碁のメディアだが、彼も彼の妻の王晨星五段(29歳)も予選で負け、自社の棋戦で本戦出場することはなかった。
12月末から始まった本戦は、2グループに分けられ、各グループ内で戦った。30-40歳グループを突破してきた王昊洋六段(31歳)は、於之瑩六段(22歳)、段嵘七段(47歳)、陳梓健五段(20歳)、邬光亜六段(30歳)、伊凌濤七段(20歳)に連勝し、五連勝の成績で*1準決勝戦に入った。もう一つのグルーブでは、趙晨宇八段(21歳)が屠曉宇六段(16段)、許嘉陽八段(21歳)、愈斌九段(53歳)、古力九段(37歳)、柁嘉熹九段(29歳)に勝ち、同じく五連勝を果たした。
だが、これらも2019年の年末から2020年の年頭の出来事だ。本戦2グループの第7局が終了すると同時に新型コロナが蔓延した。それが原因で、2020年の春節後に行われる予定だった残りの対局は延期された。2020年5月に入ってからようやく徐々に再開した。しかし、6月になるとまたもや北京で新型コロナが再発したゆえ、試合は再度延期された。王六段、趙八段の連勝は范胤八段(23歳)と連笑九段(26歳)によって止められた。その後、范胤八段は前回の優勝者である江維傑九段(29歳)に勝ったが、湖北の感染地域から帰ってきた辜梓豪九段(22歳)に負けた。その辜九段も芈昱廷九段(24歳)に負けた。そして、芈九段は最後の関門で柯潔九段(23歳)に負けた。一方、連九段は范廷鈺九段(24歳)と楊鼎新九段(22歳)に勝った。
8月4日、ついに*1準決勝戦がやってきた。柯九段と連九段の二人の親友は、それぞれ趙八段と王六段に勝ち、連勝者の決勝戦進出を防いだ。柯九段と連九段の二人は、2018年第9回竜星戦のように、再び決勝戦で早碁三番勝負を戦う。
*1棋戦システム…原則としてパラマス方式の決勝三番勝負。各本戦ブロックの最多連勝者、最終勝ち残り者の2名が決勝トーナメントに進出し、決勝戦は三番勝負を行う。
(記事/写真:易非)
中国と韓国が国際棋戦をネットで行うようになり、日本もその後を追うようにネットでの棋戦が始まった。第7回GLOBIS杯世界囲碁U20戦が、8月1日から2日にわたりネット上で行われた。この棋戦は、2日間で4つの対局が行われ、優勝者を決定した。
この棋戦の参加資格は、20歳以下の世界新鋭棋士に限られた。今大会の年齢要件を満たしている申真谞九段(20)は国際棋戦のLG杯で優勝しており、また、丁浩六段(20)は中国のCCTV杯の優勝者であるため、参加者名簿に彼らの名前はなかった。中国では2000年(平成12年)生まれの辰年の棋士が多い。その中でも特に期待されている7人は、「00年代の七つの龍」と呼ばれている。7人のうち、李維清八段(20)と廖元赫八段(19)は、すでに中国囲碁甲級リーグ戦の主力となったが、GLOBIS杯に参加するのは今回がはじめてだ。この2人に加え、もう一人の棋士である謝科八段(20)を合わせて、中国の「三羽烏」と呼ばれ、活躍が期待されていた。
しかし、勝利を確信するにはまだ早かった。韓国の英才戦優勝者である文敏鐘二段(17)が突如頭角を現した。8強戦で敗勢がほぼ決まった状況を逆転させ、謝八段に勝ったのだ。準決勝では、AIのような妙手を打ち、廖八段に完勝した。決勝戦では、双方ミスも多く激しい戦いとなった。しかし、重要な局面での勝負の決め手を握ったのは、文二段だった。李八段は、その後も見せ場を作れず敗北してしまった。三人の中国棋士が、一人の若い韓国棋士に負けてしまったのだ。
三位決定戦では、中国の廖元赫八段が韓国の朴常鎮四段(19)に勝った。来年からこの棋戦は完全に新人の舞台になるだろう。
(記事/写真提供:易非)
第13回春蘭杯世界プロ囲碁選手権は、もともと2月末に春蘭公司の本拠地である江蘇省泰州市で開幕する予定だったが、新型コロナウイルスの影響で延期となった。そのため、2回戦が7月末にネットで行われることになった。LG杯、夢百合杯のネット棋戦との違いは、春蘭杯ではヨーロッパと北アメリカの選手もいることだ。つまり、全世界6か所同時にパソコン上で石を置くという現象が起きる。
欧米の棋士は時差を克服し、東アジアの棋士と同じように北京時間の午前10時30分の試合に参加した。日本の井山裕太九段(30)と芝野虎丸九段(20)はなんとか日程を合わせ、出場できた。しかし、激しい戦いの後、勝ち上がったのはやはり中国と韓国の棋士だった。7月29日と31日の2ラウンドの対局の後、中国の柯潔九段(23)、范廷鈺九段(24)、唐韋星九段(27)、連笑九段(26)の四人が8強に入った。韓国側も申真谞九段(20)、朴永訓九段(35)、卞相壱九段(23)が残っていた。
全2ラウンドのハイライトは、中国台北棋士の許皓鋐六段だろう。あまり注目されていなかったが、彼は中国の先輩名棋士である時越九段(29)と陳耀烨九段(30)に連勝した。しかも、「目には目を、歯には歯を」のようなやり方だった。大石をとることで有名な時九段の大石を取るだけでなく、ヨセ争いで目算に正確且つ念入りで知られている陳九段を負かしたのだ。中国台北の棋士が春蘭杯の8強に入ったのは、これが初めてだった。
その他にも、関西棋院の余生麒八段(24)は、あと一歩で8強に入るところまで勝ち上がったが、前半のリードを覆すかの如く、「ヨセの死神」と呼ばれる朴永訓九段に逆転された。今回もまた日本の棋士は8強を逃してしまった。
(記事/写真提供:易非)
第8回中信置業杯中国女子囲碁甲級リーグ戦が、7月26日に山西省大同市で開幕した。新型コロナウィルスの影響で、囲碁棋戦の大部分は通常通りの進行ではなくなった。女子囲碁甲級リーグ戦は、もともと3月に湖北省赤壁市で開幕する予定だったが、7月末に延期されたため、やっと中国のトップ女流棋士が出揃った。
今年の中国女子囲碁甲級リーグ戦のテーマは、「歴史名城行」だ。山西の大同は、雲岡の石窟大仏で知られており、その仏の光は千年も照らし続けると言われている。しかし、イベントに参加した棋士たちは、そのような観光地でも皆、マスクをつけていた。やはり新型コロナウィルスが心配なようだ。
今大会も三名出場のルールだった。七冠王の江蘇チームと長年の強豪チーム上である海、厦門チームは今大会でも活躍が期待されている。去年、四位だった安徽チームと五位だった陝西チームは、大きく環境が変わった。今年のスポンサーは山西の企業ということもあり、2ラウンド行われることとなった。山西地域からは、2チームが女子囲碁甲級リーグ戦に出場した。
新型コロナウィルスの影響により、今年の女子囲碁甲級リーグ戦は、ホームグラウンドなしで全18回戦の試合が各地を巡って行われた。7月28日から31日まで、山西大同で4回戦が行われた。残りは内モンゴルのオルドス、山西の忻州、重慶および広東の中山で行われる。
各チームの棋士名簿:
チーム名 | 棋士 | 韓国棋士 | コーチ |
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江蘇チーム | 於之瑩六段(22) 王晨星五段(29) 尹渠二段(18) |
呉政娥四段(27) | 丁波五段(50) |
上海チーム | 芮乃偉九段(56) 唐奕三段(32) 唐嘉奕二段(16) 王香如初段(30) |
劉世振七段(43) 江鋳久九段(52) |
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厦門チーム | 陸敏全五段(21) 趙奕斐四段(20) 劉慧玲二段(22) 黒嘉嘉七段(26) |
常昊九段(44) 張璇八段(52) |
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山西チーム | 周泓余六段(18) 李小渓四段(26) 戦鷹二段(25) |
呉侑珍七段(22) | 李魁三段(40) 彭荃七段(34) |
山西忻州チーム | 李赫五段(28) 羅楚玥四段(19) 李鑫怡三段(20) 曹又尹三段(33) |
張東岳五段(36) | |
杭州チーム | 高星四段(24) 方若曦四段(18) 呉依銘二段(14) 徐晶琦初段(16) |
陳潇楠四段(31) | |
武漢チーム | 魯佳三段(32) 張子涵三段(25) 董天怡初段(16) |
金彩瑛六段(24) | 阮雲生七段(65) |
広東チーム | 陳一鳴四段(27) 蔡碧涵四段(30) 陶然三段(24) 鄭岩二段(36) |
廖桂永九段(58) 李華嵩四段(40) |
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浙江チーム | 汪雨博四段(24) 王爽四段(25) 潘陽三段(23) 王思尹初段(21) |
陳臨新九段(57) | |
成都チーム | 李小渓初段(14) 陳蔓淇初段(13) 李思璇初段(14) |
曹承亜二段(21) | 李亮五段(48) 楊一六段(35) |
(記事:易非 / 写真提供:主催者側)
中国のプロ棋士、范蘊若八段(24歳)が7月2日に上海の自宅から飛び降りて亡くなった。突発性の鬱病が原因だと診断された。
范八段は上海出身だが、子供の頃は北京の囲碁道場へ通い、2009年(平成21年)に入段した。范八段は優れた才能の持ち主で、早くも頭角を現した。2012年(平成24年)、16歳の時に囲碁甲級リーグ戦に参加し、上海チームの主力となった。ランキングでもトップテンに入るほどの実力だ。だが、時の運は彼にあらず、2011年(平成23年)から2019年(令和元年)まで、中国新秀戦、新人王戦、星鋭戦、威孚房開杯、CCTV杯、天元戦、全国個人戦で7度も準優勝という結果だった。国際棋戦でも、2016年(平成28年)の三星杯4強が最も良い成績だ。中国囲碁界トップ棋士の一人として、このような成績で満足することはないだろう。
団体戦では、良い結果を残すこととなった。日本の三重県で2度もおかげ杯国際精鋭対抗戦で優勝した。また、2017年(平成29年)の農心杯では、朴廷恒九段(27歳)に勝ち優勝し、合計3度の中国の優勝に貢献した。実力を持ちながら運があまりない棋士と言えば、「万年準優勝」と言われた日本の加藤正夫九段(1947-2004)、中国の兪斌九段(53歳)を思い出させる。たゆまず頑張り続ければ、いつか報われる日が来ただろう。
だが、その日は永遠に来ることはなかった。世界中に影響し続ける新型コロナウイルスは、各試合を中断させた。もともと外との連絡が少ない棋士たちにとっては、勝負の残酷さすら自宅で味わうこととなった。報道によると、范八段がなくなった直前、五日間も眠れずに、徹夜でネット碁をしたため、精神が不安定になっていたという。彼が飛び降りて、この世界と別れようとした時、釈然としただろうか。
(記事/写真提供:易非)
中国の新型コロナウイルス対策が進むにつれて、囲碁の試合も徐々に回復していった。5月に北京で新人王戦、棋聖戦、竜星戦が行われた。6月になると、西南王戦が四川都江堰で、新人王戦の決勝戦が上海で、夢百合杯8強戦は江蘇如皋で、天元挑戦戦は江蘇同里で次々と開かれることとなった。コロナウイルスが流行する前のような生活に戻りたいと誰もが望んでいる。
しかし、望みが叶うことはなく、西南王戦が始まる前日の6月13日、北京の新発地でまたもや新型コロナウイルス感染症が発生した。一日あたりの感染確認人数は東京、ソウルと近いが、北京市は強力な対策を取った。確診された患者がいる住宅団地に住むすべての住民に対して、北京からの外出禁止を言い渡した。西南王戦、新人王戦の後の夢百合杯と天元戦は運悪く、延期することとなった。
6月14日、第19回西南王戦が始まった。中国西南地域の四川チーム、雲南チーム、重慶チーム、チベットチームと貴州生まれあるいは貴州を代表する棋士、合わせて16名が二日間にわたり計4回戦の試合を経て、優勝者を決める。三年前、この棋戦で優勝した芈昱廷九段(24歳)は、特別招待棋士として参加した。近距離の接触を避けるため、試合の前3回戦はすべて屋外の公園で対局することとなった。
6月15日、四川省は北京の感染状況に対し、準決勝戦が終わった後、北京から来るすべての人に対し、PCR検査をするように要求した。今回の解説ゲスト聶衛平九段(67歳)や王元八段(60歳)なども検査名簿に入っていた。感染の危険をさけるため、決勝戦は全員の検査結果が出たあとに行われた。そのため、1時間ほど遅れたが、幸い全員陰性だという結果が出た。唯一西南地域とまったく関係のない特別招待棋士芈九段は、今年も好運に恵まれたようだ。チベットチームに加盟し、初めて西南王戦に出る柁嘉熹九段(29歳)に勝ち、今年も優勝した。優勝賞金は25万元(約380万円)である。
(記事:易非 / 写真:sina)
第24回馬橋杯中国囲碁新人王戦は、5月にネット対局と対面対局を通じて32名の棋士が同時に北京・上海・杭州・成都で本戦の前4回戦を行った。6月15日から17日、試合は上海市の馬橋鎮に移った。決勝戦に入った屠暁宇五段(16歳)と王星昊五段(16歳)は、三番勝負で優勝を争った。優勝賞金は12万元(約180万円)だ。
二人の少年棋士は、初の決勝戦入りにもかかわらず、すでに中国囲碁甲級リーグのチーム内の主力選手となった。さらに、王五段は2019年甲級リーグの最優秀新人賞を受賞した。主催地である上海出身の王五段は、決勝戦前から注目を浴びた。今までもそうだが、新人王戦と上海出身の棋士は、縁があるようだ。常昊九段(43歳)から、邱峻九段(37歳)へ、また范廷鈺九段(24歳)へと、王五段が彼らの旗を継ぐことを上海棋界は期待しているようだ。ただし、屠五段の支持者も少なくない。江蘇省連雲港市初のプロ棋士として、出身地すべての囲碁愛好者の期待を背負っている。
このような雰囲気での進行は、プレッシャーを感じずにはいられない。決勝戦の1局目で王五段はあまりにも慎重すぎたゆえ、屠五段に優勢を取られ、結果完敗してしまった。第2局目では、早めに勝勢を取っていた屠五段だが、王五段の必死の勝負手の攻勢で足並みを乱し、たやすく勝利を相手に譲ってしまった。決勝の一局になると、談笑していた二人の間の空気も絶妙に変わってしまった。王五段は、2局目に影響されたのか、攻勢を繰り広げた。それに対して、屠五段は慎重に打ち進めた。まさに、王五段がわずかな差で勝利を収め、上海棋界が歓声をあげようとした瞬間、王五段はまたもや行き過ぎた一手を打ってしまった。窮地に追い込まれた屠五段は、反撃に出て、一挙に逆転した。
このような劇的な決勝戦の後、二人の棋士は相手の顔を見ようとはせず、黙って自分の携帯でAIの検討を見ていた。その沈黙は、閉幕式が始まるまで十数分も続いた。大きな勝負を経てはじめて囲碁の厳しさを体感することができる。今回の試合は、二人にとって、大きな成長につながるだろう。
(記事/写真:易非)
2020年1月、新型コロナウイルスが流行してから中国の棋戦は全面的に停止となった。棋士たちは、ネット上での練習対局を余儀なくされた。4月に入り、ネット棋戦の主催者の要求により、中国棋院で対局することとなった。対局者2名が同じ部屋にいながら、それぞれ別のパソコンに向かって対局をするという形式だ。5月の新人王戦も同じような形式で対局を行った。
5月18日から中国の棋戦がようやく対面対局に戻った。2019年12月末に予選を終えた第5回洛陽白雲山杯中国囲碁棋聖戦の本戦は、対面対局再開の先駆けとなった。ただし、対局形式は以前とは異なっていた。本戦の第一回戦は16名が参加する。以前は1日で8局も行われたのに対し、今は8日に分けられている。また、対局者の体温が37.5℃を超えると出場できなくなる。前もって申請した場合は、延期することもできる。さらに、自動記譜という技術が用いられたことにより、対局室に記録員がいなくなり、密集を最大限に避けている。対局場も毎日換気をし、碁石も定期的に入れ替えられている。
5月18日から27日にかけて、タイトル防衛者の柯潔以外の中国最強棋士16名が次々と登場した。湖北から北京に戻り、一カ月間自ら隔離していた謝爾豪九段(22歳)と辜梓豪九段(22歳)がついに碁盤を挟んで向かい合った。30代の陳耀燁九段は辜九段に半目勝ちを収め、「80世代(1980年代生まれ)はまだ健在!」とその存在感を示した。棋聖戦発祥の地、河南省洛陽市出身の選手である時越九段(29歳)は後輩の李維清八段(20歳)を破った。8強戦以後の試合はすべて洛陽で行われることになっているゆえ、時九段は初めて故郷で棋聖戦を迎えることとなった。8強戦の対陣は、丁浩六段(20歳)VS謝爾豪九段、陳耀燁九段VS時越九段、連笑九段(26歳)VS王星昊五段(16歳)、江維傑九段(29歳)VS彭立堯八段(28歳)である。
(記事/写真:易非)
第25回LG杯朝鮮日報世界囲碁棋王戦のルールが変更された。各チーム内の選抜を経て、本戦の32強戦と6強戦は予定通り6月1日に開かれた。しかし、各国の棋士たちが一堂に会して対局することはなかった。北京、中国台北、ソウル、東京の各棋院でネットにより対局することとなった。さらに、密集を避けるため、もともと2日間の試合が5日間に分けられた。
棋士は、試合直前に体温検査と安全検査を受けなければならない。新型コロナウイルスになっていないことの証明に加えて、電子製品をもっていないことも確認した後に、試合会場に入ることが許される。腕時計、イヤホン、ワイヤレスマウスさえ持ち込みが許されていない。対局時、棋士はパソコンのスクリーンに向かって座り、後ろには撮影用(監視用)のカメラが設置される。もし対局中にトイレなどで席を立ったら、再度安全検査を受けなければならない。このような風景が世間に広まったら、人々は、「まるで大学のコンピューター試験のようだ」と口にするだろう。百年前、文豪川端康成は名作『名人』の中で、「棋道の風雅はもう衰えた」と感嘆したが、今はもはや棋道すらなくなっている。
二回戦の試合を経て、中国は2名、韓国は6名の棋士が8強に入った。中国の第一人者柯潔九段(22歳)は、韓国の第一人申真谞九段(20歳)に勝った。半年間正式に棋戦に出てないが、圧倒的な実力を示した。韓国の「子牛組」の一人、元晟溱九段(35歳)は中国の辜梓豪九段(22歳)に勝ち、「老将はまだ健在」ということを示した。11月予定の8強戦では、柯九段と元九段が対峙することになる。世代を超えた対戦だ。その他の組み合わせは、朴廷恒九段(27歳)VS楊鼎新九段(中国、22歳)、姜東潤九段(31歳)VS下相壱九段(22歳)、申旻埈九段(21歳)VS李泰賢八段(30歳)である。
(記事/写真:易非)
中国の大会予定表では、2020年の旧正月の後、最初に開かれる国内棋戦は、2月の第24回馬橋杯中国囲碁新人王戦だった。だが、新型コロナウイルスの影響で、棋士たちは予定通り北京に到着できず、試合は全面中止になってしまった。5月に入り、状況が好転したため、新人王戦が棋界で最も早く再開する棋戦として、5月11日から15日まで行われた。
しかし、対局形式は以前と異なっていた。32名の棋士は、中国棋院、上海棋院、中国棋院杭州分院、成都棋院の四つの試合場から最も近いところを選び、パソコンを使ってネットで対戦することとなった。同じ試合が同時刻に四つの都市で同時に行われるというかつてない不思議な事態が起きている。
32名の棋士のうち、男性棋士が22名、女流棋士が10名だ。2019年の優勝者は、女流棋士の周泓余五段(17歳)ということもあり、今回の新人王戦でも女流棋士の活躍が注目されていた。だが、第二回戦では、5名残っていた女流棋士が、8強戦の時点では、誰も残ることができなかった。周泓余五段は成家業三段に負けてしまった。成家業三段は、初の準決勝進出を果たした。
結果、32名の中でランキングが一番高い屠暁宇五段(17歳)と王星昊五段(16歳)が決勝戦に入った。王五段は、2019年中国囲碁甲級リーグ戦で最優秀新人賞を受賞した。また、彼は新人王戦の主催側の一つである上海棋院が力を注いで育成している新人だ。今回の三番勝負決勝戦は、中国囲碁界の将来の第一人者を決める棋戦になるかもしれない。中国囲碁協会は、決勝戦は対面での対局を予定しているが、コロナウイルス対策の状況によっては、決勝戦をネット対局に切り替えることも検討している。
(記事/写真:易非)
2020年も四月に入ったが、中日両国はともに新型コロナウイルスの影響により、どの棋戦も予定通り行うことが難しくなった。そして、誰もが恐れていた各棋戦が次々と延期するという事態が起きてしまった。
第4回MLILY夢百合杯世界囲碁オープン戦が、2019年5月と10月に北京で予選と本戦の前3ラウンドの試合を行った。中国は7名、日本は1名、8強に入った。韓国棋士の全敗がビッグニュースとなった。だが、すぐ次の話題がやってきた。2020年3月に中国の江蘇省南京市で行われる予定の8強戦と準決勝戦は延期を余儀なくされた。各国間の通航が絶えている現状では、再開の目処が立たない。
4月27日、中日両国の話し合いで、中国棋士謝科八段(20歳)と日本棋士一力遼八段(22歳)の8強戦がネット上で行われることとなった。両者は、北京東城区の中国棋院と東京千代田区の日本棋院をそれぞれ対局場とし、リモートビデオでニギリを行い、職員監督のもと対局を完遂した。謝八段は、序盤から有利であったが、なかなか決め手を出せずにいた。早い段階で秒読みに入った一力八段は、チャンスを掴むことができず、結果謝八段の白番中押し勝ちとなった。中国棋士が早くも今回の夢百合杯の4強すべてを収めた。
ネットで世界棋戦を行うのは、今回が初の試みだ。若手棋士は、ネットでの練習に慣れているので、このような状況下で対局をしても違和感をおぼえないだろう。しかし、やはりパソコンとマウスでは、実際の碁盤と碁石で対局するよりも緊張感が少ないように感じる。今回の夢百合杯8強戦の残り三組の対局は、新型コロナウイルスが落ち着き次第、南京市で開かれることとなった。そのころになれば、優勝の兆しが見えてくるだろう。
(記事/写真:易非)
LG杯世界棋王戦は、韓国主催の伝統的な世界囲碁大会である。2005年(平成17年)に国際予戦を設けて以来、各国の若手棋士が一堂に首都ソウルの韓国棋院に集まり、大規模な選抜戦を戦ってきた。
だが、2020年ですべてが変わった。第24回LG杯国際予戦は4月の初め頃に行われる予定だったが、新型コロナウイルスの影響で、中国、日本、韓国、中国台北にそれぞれ枠を設け、各国で予選を行う形式を採用した。実際、中国台北は、選抜戦が早い時期に行われたため、対面での対局が可能であったが、中国台北以外の中国、日本、韓国は、ネットで対局することを強いられた。
中国の選抜戦は4月10日から21日まで行われた。中国は、6枠を割り当てられたので、2ラウンド、24人が参加するトーナメント戦を採用した。ちょうどこの時期は、中国のコロナウイルスの状況も落ち着いてきたため、多くの参加棋士は北京に戻った。試合は、中国国家囲碁チーム訓練室で毎日2局ずつ行われた。棋士たちはマスクをつけ、同じ部屋でパソコンを通じて対局した。辜梓豪九段(22歳)と謝爾豪九段(22歳)は、まだ湖北省に居たため北京には戻れなかったが、自宅でカメラをつけながらネットで対局した。
試合の大部分は、「若手棋士がベテラン棋士を制して、絶えず進む」結果となった。世界チャンピオンである棋士たちは後輩の攻撃に耐えきれなかったのだ。しかし、連笑九段(26歳)が許嘉陽八段(20歳)と謝科八段(20歳)に連勝し、出場権を勝ち取るという出来事が起きた。最後に予選枠を抜けたのは、連笑九段、辜梓豪九段、李軒豪八段(25歳)、范蘊若八段(24歳)、趙晨宇八段(21歳)、丁浩六段(20歳)だった。加えて、直接本戦に入るシード選手の柯潔九段(22歳)、唐韋星九段(27歳)と楊鼎新九段(21歳)がいる。9名の参加選手の生まれ年はちょうど1993年から2000年にかけて1年毎に並んでいる。だが、6月1日に始まる予定だったLG杯本戦は、予定通りに開かれる可能性は実に低い。
(記事/写真:易非)
囲碁界を苦しめる状況はまだ続いている。新型コロナウイルスは中国から世界へ広がっている。ロックダウンなどの措置で中国国内の状況はだんだん回復へ進んでいるが、国際交流は依然として閉ざされている。スポーツに関する活動を控えるように要求されているからだ。2020年3月と4月の中国の棋戦スケジュールは空白だった。
棋士が試合へ参加できるように、2020年華為携帯杯中国囲碁甲級リーグ戦のネットウォームアップマッチ戦と2020年中信置業杯中国女子囲碁甲級リーグ戦ネットウォームアップマッチ戦が相次いで行われた。二大リーグ戦に関しては、ウォームアップマッチ戦の試みは初めてだった。試合方式は、男子甲級リーグ戦の16チームを2グループに分け、まずグループ内でトーナメントを行う。その後、同順位決定戦を行う。女子甲級リーグのほうは、10チームが9ラウンドのトーナメント戦を経て、直接優勝、準優勝を決める。
どのチームも外国人選手が参加しなかったため、「朴廷恒・申真谞のいるチームが天下を取る」という説はなくなり、甲級リーグ戦の優勝争いも大きく変わった。若い棋士を育成することに力を入れた江西チームは辜梓豪九段(22歳)、許嘉陽八段(21歳)、楊楷文七段(23歳)、屠暁宇五段(17歳)の安定した実力で優勝を勝ち取った。一方、女子リーグ戦のほうは、陸敏全五段(21歳)、趙奕斐四段(20歳)、劉慧玲二段(24歳)がいる厦門チームが優勝した。リーグ戦でこのような良い成績をとったのは2チームとも初めてだった。また、台湾の美人棋士黑嘉嘉七段(26歳)が厦門チームの一員として一戦を交えたことは、特筆に値する。
ウォームアップマッチ戦ということに加えて、ネットで行われたため賞金が通常よりも低かった。二つの団体優勝はそれぞれ12万元と8万元だ(約180万円、120万円)。コロナウイルスの影響で、ネットでの試合もやむを得ない状況だ。さらに、全面的にAIを利用してカンニングすることをいかにして防ぐかということも話題となった。このような状況下で行われた今回のウォームアップマッチ戦は、囲碁関係者の心の中に残るだろう。
(記事:易非 / 写真提供:試合の運営側であるテンセント野狐囲碁が作った宣伝ポスター)
賀歳杯は、中国囲碁界が春節に行う唯一の棋戦である。中日韓のトップ棋士のみの参加で、規格外れの賞金が用意されている。また、中国国家テレビで生放送されるため、格式の高い大会だと国民から支持されている。この大会のように、もっとも刺激的な方法で新年を祝う、これは中国特有のことだろう。
賀歳杯が三人制*1になって以来、中国は時越九段(29歳)、柁嘉熹九段(29歳)がそれぞれ一度出場し、その後5年間の出場権は全て柯潔九段(22歳)に取って代わられた。これに対し、韓国は李世石九段(36歳)、金志錫九段(30歳)、朴廷恒九段(27歳)の覇者交代が続いた。日本は井山裕太九段(30歳)、村川大介九段(29歳)と芝野虎丸九段(20歳)が次々と登場した。時九段、柁九段が優勝した後、柯九段が二連覇を果たした。しかし、直近2年間の決勝戦では、続けて朴九段に負けてしまった。特に2019年四川省成都市で行われた決勝戦では、柯九段が終盤の大きなミスにより大衆の前で失態してしまったことは、一時世論を騒がせた。
*1三人制…中日韓からの代表者1名による棋戦
2020年1月20日から22日にかけて、第8回CCTV賀歳杯中日韓新春争覇戦が再び成都で開かれた。参加選手は前年と同じだ。日本代表の芝野九段は今年もくじ運が悪く、一回戦が不戦勝で、第二回戦で負けると脱落となる。1回戦の結果だけは去年と違った。柯九段は序盤の大不利な状況から勢いよく追いつこうとしたが、結局結果を出せず朴九段に負けた。だが、第二回戦で芝野九段に勝って復活した。決勝戦では、柯九段は中盤でミスをしてしまい、二度と立ち直ることはなかった。朴九段はいつも通り安定して打ちきった。その結果、初めて同じ棋戦で二度も自身の最強ライバルに勝ち、賀歳杯三連覇を果たした。
(記事:易非 / 写真提供:sinaサイト)
中国で最も歴史がある新聞棋戦の一つである天元戦は、2020年初の対局として開幕した。優勝・準優勝の賞金は、もともと25万元・12万元だったが、優勝40万元・準優勝20万元(それぞれ約400万円・200万円・620万円・310万円)に引きあがった。不況の中での賞金の引き上げは、同里鎮*1の囲碁普及への想いが感じられる。タイトルの防衛者、天元三連覇の連笑九段(25歳)も開幕式で「囲碁愛好者の方はぜひ同里へ訪れてください」と感謝の気持ちを込めてあいさつをした。だが、第一人者の柯潔九段(22歳)が個人的な理由で4年も天元戦をあきらめたことは残念だった。
*1 同里鎮…江蘇省蘇州の郊外にある呉江地区の町の名前
中国では、続けて対局することはよくあることだ。特に天元戦は、30年以上の間10日間で本戦から挑戦者決定戦まで終わらせる伝統を持っている棋戦である。このような棋戦では、棋士のコンディションがとても重要である。そして、中国で今もっともコンディションの良い棋士は楊鼎新九段(21歳)に違いない。
その名をはせた時、楊九段はまだ少年だった。しかし、2019年(令和元年)になるとたちまちその実力を十分に発揮した。LG杯で時越九段(28歳)を負かして優勝しただけでなく、三星杯の決勝戦にも入った。そして、これらの成績をもって、中国のトップ棋士の一員となった。ランキングでも芈昱廷九段(23歳)、范廷鈺九段(23歳)、辜梓豪九段(21歳)などの同年代の強敵をおさえ、2位になり、柯潔九段に迫っている。2020年に入っても彼の勢いは止まらない。1月6日から14日までの第34回天元戦では、彭立尧七段(27歳)、趙晨宇八段(20歳)、時越九段、范廷鈺九段、李軒豪七段(24歳)に連勝し、初めて挑戦権を得た。
楊九段が連九段に挑戦する三番勝負はもともと4月15日から18日まで江蘇省蘇州市同里鎮で行われる予定だ。
(記事 / 写真提供:易非)
月日は矢のごとく過ぎるのが早い。2019年8月の第4回洛陽白雲山杯中国囲碁棋聖戦決勝戦での柯潔九段(22歳)と連笑九段(25歳)の「兄弟決戦」が昨日のことのようだ。年納めの2019年12月、第5回棋聖戦の予選が始まった。
棋聖戦は、ルールが中国棋戦の中で最も複雑で、ランキングにより選手を分ける。三つの予選グループから突破してきた20名の棋士が、もう1ラウンドの入選戦を戦い、その後さらに、ランキングポイントが2500~2600の棋士と全3回戦の資格戦を戦う。これにより、本戦に入る四人の棋士が選ばれる。本戦では、すでにランキングポイントが2600以上の12名の棋士が待っている。計16名の棋士は、全4回戦のトーナメントを経て、1人だけが前回の優勝者である柯九段に挑戦できる。棋聖戦が中国でも日本でも最大の棋戦であることは、この棋戦形式を見ればわかる。
予選段階において、参加棋士は100人余りだった。その中でも、女流棋士と若手棋士が注目された。周泓余五段(16歳)は多くの男性棋士を前に、少しも恐れる様子がなく、呂立言二段(18歳)などに勝ち、棋聖戦史上唯一入選戦に進出した女流棋士となった。また2006年生まれの新星である呉依銘二段、胡子豪初段、王春暉初段、傅健恒初段も注目を集めた。
12月30日、中国囲碁界2019年の最後の棋戦として、第5回棋聖戦資格戦の第3ラウンドが終わった。周睿羊九段(28歳)、唐韋星九段(26歳)、檀嘯九段(26歳)などの世界チャンピオンが敗れ去った。本戦に入った4人は、趙晨宇八段(20歳)、李維清八段(19歳)、彭立堯七段(27歳)、王星昊五段(15歳)だった。
新型コロナウイルスの影響で、2020年3月に開かれる予定だった第5回棋聖戦本戦は延期された。
(記事/写真:楊爍)
建橋杯中国女子囲碁オープン戦には、初めて決勝戦に進んだ棋士は勝てないというジンクスがある。もし二人ともが初の決勝戦進出だとしたら、勝負の行方はわからない。しかし、どちらか一方が以前決勝戦に入ったことがあれば、決勝戦を経験した方が必ず優勝する。また、奇妙なことに、初めての決勝戦で負けた棋士は、翌年以降のこの棋戦で再び決勝戦に進出し、新人に打ち勝つ。これは建橋杯のユニークなところである。鄭岩二段(35歳)、王祥雲三段(30歳)、曹又尹三段(31歳)や芮廼偉九段がこのジンクスを証明してきた。
2019年の第17回建橋杯では、王爽四段(23歳)がこのジンクスを証明した。彼女は2015年(平成27年)に建橋杯の決勝戦を経験したが、於之瑩六段に負けてしまった。今回、彼女は李小渓三段(25歳)、汪雨博三段(23歳)、宋容慧五段(27歳)、蔡碧涵四段(29歳)に勝ち続けた。同グループの最大のライバルである於六段はすでに蔡四段に負けていた。2回目の決勝戦、優勝はもう目と鼻の先だ。中国語で、「事不过三」(「同じこと(辛いこと)は三回は起こらない」)ということわざがある。2019年の初めの頃、王四段は女流名人戦の決勝戦で陳一鳴三段(27歳)に悲惨な負け方をしている。ことわざ通りなら、今回は期待できそうだ。
しかし、このような雰囲気はもう一人の決勝戦へ進んだ潘陽三段(22歳)にとって不公平だろう。潘三段は今回の建橋杯のダークホースだった。周泓余五段(16歳)、高星四段(23歳)、王晨星五段(28歳)などのトップ棋士に勝ってきた。だが、初の決勝戦ということもあり、経験の差が出てしまった。2019年12月18日~19日にかけて、潘三段は決勝戦三番勝負の一局目に好局を落としたせいで、二局目では意気消沈してしまい、ほぼ完敗だった。王爽四段は、三度目の決勝戦でとうとう最大の収穫を得た。今の建橋杯の優勝賞金は30万元(約470万円)で、間違いなく中国女流棋戦の頂点である。
(記事:易非 / 写真提供:sina)
中国唯一の挑戦制の女流タイトル戦である女流名人戦が、2019年11月20日に第2回を迎えた。32名のトップクラスの女流棋士が、トーナメント式で5回戦の戦いを経て、最後に勝ち残った一名が前回の優勝者である陳一鳴三段(27歳)の挑戦権を得る。陳三段は2019年3月に行われた第1回名人戦で「十年に一鳴*1」と例えられ、やっとの想いで優勝した。それと同時に、挑戦者を待つ「特権」を得た。
(*1)十年に一度しか鳴かない鳥の比喩。普段は目立つような成績を残していないが、一度力を発揮すると、誰もが驚くような成績を残す例え。
中国女流棋士の第一人者として五年も君臨した於之塋六段(22歳)は2019年、スランプに陥った。女流名人戦の第2回戦では、またもや七つも年下の若い棋士唐嘉雯二段(15歳)に負け、中国女流棋士の唯一の王者ではなくなった。於六段に取って代わった王晨星五段(28歳)も若手の追撃に耐えられず、於六段と同じ第二回戦で羅楚玥三段(18歳)に負けてしまった。羅三段はさらに勝ち進み、第3回戦でベテランの芮廼偉九段(56歳)を負かし、ほか二名の8強に入った10代の方若曦三段(17歳)、周泓余五段(16歳)とともに、棋界トップ棋士の年齢記録を更新した。
2019年1月、周泓余五段と汪雨博三段(23歳)は第1回女子名人戦でともに負けた。彼女たちを負かした陳一鳴三段と王爽四段(23歳)が決勝戦で戦うこととなった。だが、2019年の年末になり、周五段も汪三段も過去の自分に打ち勝ち、一層実力をつけた。12月8日、彼女たちはそれぞれ李赫五段(27歳)、羅楚玥三段に勝ち、挑戦者決定戦で対戦することとなった。12月10日、周五段は、男女問わず出場することができる新人王戦で優勝した実力を発揮し、中盤で汪三段に勝ち、初めて本戦決勝戦に進出した。
これは陳三段に対する「リベンジ戦」になるだろう。中国女子棋界の10代と20代の「世代対決」ともなる。挑戦手合の三番勝負は2020年4月8日に四川省古城で行われる予定だが、2020年は中国全土で新型コロナウイルスの脅威にさらされている恐れがある。この激戦が行われるかは未定である。
(記事:楊爍 / 写真提供:sina)
2019年4月10日から11月27日にわたり、中国中信グループが後援する第7期中国女子囲碁甲級リーグ戦の全18回戦の対戦が終了した。中国政府の提唱で、今回も「貧困地域を支援する」ことをテーマに掲げた。江西省萍郷市、チベット自治区林芝市、山西省晋中市、江西省井岡山市、湖北省荊州市でそれぞれ棋戦が行われた。中信グループは各地域に「貧困支援金」として100万元を寄付した。
2019年の中国女子囲碁甲級リーグ戦最大の変更点は、もとの二台制団体戦を三台制に変えたことだ。各チームの出場選手は二人から三人に増え、新体制に戸惑う者も多くいた。於之瑩六段(22歳)と王晨星五段(28歳)だけで敵を一掃した江蘇チームは、新体制になってから、苦労を強いられた。於六段は、従来のような安定感がなくなり、ともに三将を担う王祥雲三段(30歳)と尹渠二段(17歳)は勝率を保証できなくなった。長い間、江蘇省の順位は芮廼偉九段(56歳)、唐奕三段(30歳)、潘陽三段(22歳)がいる上海チームよりも下の成績だった。安徽チームや厦門チームも背後から迫ってくる。
11月27日に湖北荊州市で最後のラウンドが開かれてやっと、優勝が見えてきた。偶然にも最後のラウンドは、江蘇と上海の対決となり、勝者が優勝を手にする。唐奕三段が王祥雲三段に勝ったが、上海チームが優勝することはなかった。肝心な時に、江蘇の「双将」がチームの大黒柱となった。王晨星五段は潘陽三段に、於之瑩六段は芮廼偉九段に勝った。江蘇チームにとって最も苦労した一年であったが、女子リーグ戦7連覇の偉業を果たした。
中国女子囲碁甲級リーグ戦の優勝、準優勝、そして三位の賞金はそれぞれ60万元、30万元、10万元である。第8回は2020年3月に湖北の赤壁で行われる予定だが、新型コロナウイルスの影響で、予定通りに進まない可能性がある。
順位表及び各チームメンバー:
最終順位 | チーム名 | 棋士 | 外国人選手 | 監督 |
---|---|---|---|---|
優勝 | 江蘇 | 於之瑩六段 王晨星五段 王祥雲三段 尹渠二段 | - | 丁波五段(49歳) |
準優勝 | 上海 | 芮廼偉九段 唐奕三段 潘陽三段 王香如初段(29歳) | - | 劉世振七段(42歳) 江鋳久九段(57歳) |
第3位 | 厦門 | 陸敏全五段(20歳) 劉慧玲二段(21歳) 趙奕斐三段(19歳) 黑嘉嘉七段(25歳) | - | 常昊九段(43歳) 張璇八段(51歳) |
第4位 | 安徽 | 周泓余五段(17歳) 李小溪四段(25歳) 戦鷹二段(24歳) | 趙恵連九段(34歳、韓国) | - |
第5位 | 陝西 | 李赫五段(27歳) 羅楚玥三段(18歳) 李鑫怡二段(19歳) 王倩鈺初段(23歳) | - | 張東岳五段(35歳) |
第6位 | 杭州 | 宋容慧五段(27歳) 高星四段(23歳) 方若曦二段(17歳) 呉依銘二段(13歳) | - | 陳潇楠四段(30歳) |
第7位 | 武漢 | 魯佳二段(31歳) 張子涵三段(25歳) 陶然二段(23歳) | 金彩瑛五段(23歳、韩国) | 阮雲生七段(64歳) |
第8位 | 広東 | 蔡碧涵四段(29歳) 陳一鳴三段(27歳) 趙貫汝二段(22歳) 黄子萍初段(19歳) | - | 廖桂永九段(57歳) 李華嵩四段(39歳) |
第9位 (降格) | 河北 | 王爽四段(24歳) 曹又尹三段(32歳) 丁明君初段(15歳) 賈罡璐二段(24歳) | - | 趙余宏五段(57歳) |
第10位 (降格) | 山西 | 谷宛珊初段(18歳) 王梓莘初段(18歳) 储可儿初段(17歳) 黄嘉怡初段(17歳) | - | 周傑二段(47歳) 李魁三段(39歳) |
(記事:楊爍 / 写真提供:sina)
囲碁界の師範と仰がれる呉清源九段(1914-2014)の故郷福建省福州市が主催の世界女子囲碁戦は2019年において第2回になる。4月の第一段階では、中国の芮廼偉九段(56歳)、王晨星五段(28歳)、李赫五段(27歳)は4強に入った。前回の優勝者金彩瑛五段(23歳)は出場したら、いきなり負けた。それで、韓国チームでは進出できたのは崔精九段(23歳)一人だけだった。
人数では絶対不利だが、崔九段は女子棋界の動かぬ存在である。2019年中国主催の四つの世界女流棋戦では、崔九段は穹窿山兵聖杯で個人優勝したし、また主将として韓国チームを率いて全勝で姜堰黄竜士杯と天台山杯で団体優勝した。2018年の第1回呉清源杯では、崔九段は決勝戦で意外と金五段に負け、大変残念だった。2019年の最後の世界棋戦となると、崔九段は早くも「全力で行こう」と宣言した。
11月30日、崔九段は完勝で李五段を負かし、再び決勝戦に入った。この日は呉清源九段がなくなった五周年の日だったが、呉九段の弟子である芮九段は優勢を占めていたが、思えないミスを出し続け、万年コウも王五段に打ち切られた。芮九段はまた自分の恩師の名を命名する棋戦の決勝戦とすれ違った。
決勝戦の前夜祭では、聶衛平九段(67歳)は「決勝戦に入った二人の棋士は、一人は絶好の運に恵まれたが、一人は絶好の実力を持っている。」といった。12月2、3日に渡った三番勝負の結果、やはり実力が優位だった。崔九段は王五段に一つのチャンスも与えずに、2局も取って優勝し、また50万元(約780万円)の賞金を手に入れた。そして、中国女子囲碁の2019年を残念に終わらせた。
(記事/写真:易非)
新しいレギュレーションを採用した2019年華為携帯杯中国囲碁甲級リーグ戦は12月9日から12日まで、福建厦門で最後の総決勝戦を終わらせた。15回戦のレギュラーシーズンと6回戦のポストシーズンという長いシーズンを経て、鷺島に来られたのは16チームのうち、わずか6チームだった。北京チームも深圳チームも新制度の「犠牲者」になったが、それに対し、レギュラーシーズンで最下位になったチベットチームと天津チームはポストシーズンの一か八かの決戦で生き返った。
総決勝戦は三番勝負であった。そして、3、4名及び5、6名の争いはもともとそんなに重要ではないが、柯潔九段(22歳)、芈昱廷九段(23歳)、朴廷桓九段(26歳)などのトップ棋士が参戦するので、結構注目されていた。厦門チーム主将である柯九段は江蘇チームの趙晨宇八段(20歳)と三局も戦って、第一局は負けたが、そのあと逆転して、チームを率いて2:1で勝利し、三位になった。一方、朴九段は実力を発揮できず、彼がいる四川チームも上海チームに負け、6位になった。
優勝をめぐる戦いは二つの杭州所属するチームの間で開かれた。蘇泊爾杭州チームは今年韓国の第一人者申真谞九段(19歳)を招いたし、連笑九段(25歳)、李欽誠九段(21歳)、謝科八段(19歳)もいて、チームの実力が均衡している。竜元明城杭州チームは間違いなくダークホースだった。主将の丁浩六段(19歳)は2019年に突然爆発した。しかし、ほかの棋士は蘇泊爾杭州チームより一歩及ばない。結果、蘇泊爾杭州チームは2:0で勝ち、十年間での4度目の優勝を手に入れた。
試合後の授賞式で、丁浩六段はMVP棋士、辜梓豪九段(20歳)及び楊鼎新九段(20歳)はともに最優秀主将、上海チームの王星昊五段(15歳)は最優秀新人、そして柯潔九段は衆望の通り最も人気のある棋士を、それぞれ受賞した。
(記事 / 写真:楊爍)
阿含・桐山杯日中決戦は、いつもドラマチックな展開をみせる棋戦である。1999年(平成11年)に創立された当時、日本側が四連勝を果たした。しかし、その後中国側が十二連勝を収めた。2015年(平成27年)にようやく井山裕太九段(30歳)によって、その勢いが止められた。その後、中国側はまたも三連勝を収めた。
2019年の中国阿含・桐山杯の優勝者は、三度決勝戦で戦い、ついに初勝利を収めた范廷鈺九段(33歳)である。日本側は五回目の優勝を果たした張栩九段(39歳)だ。張九段は4度阿含・桐山日中決戦を経験しており、二度は古力九段(36歳)に負け、二度は劉星七段(35歳)に負けている。同年代の相手の前では、苦戦が続いた。今回、満を持して復活してきた張九段だが、相手が張九段より16才も年下であったため、対局前まで張九段の優勝は期待されていなかった。
しかし、対局中に見逃すことのできない劇的なシーンがあった。12月3日、広東省広州市では30秒一手の早碁戦が行われた。布石の段階から形勢がとても悪くなった張九段は豊富な経験を活かし、かろうじて応戦していた。范九段は優勢を意識しているせいか、凡ミスをしてしまった。張九段はそのミスを見逃さず、一挙に逆転した。後半の范九段の猛攻も張九段に受け止められ、結果、范九段は1/4子(半目)の差で負けてしまった。
対局後、范九段は悔しがる姿をみせた。張九段は、「夢のような勝利」と口にした。確かに、張九段の年齢を考えると国際棋戦でこのような結果を出すことは決して容易なことではない。
対局後、日本阿含宗の理事長和田尚子(76歳)は挨拶の中で「今日の結果は日本側には喜びをもたらし、中国側には安心をもたらした。」という言葉を残した。この含蓄のある言葉の意味するところは、阿含宗の今は亡き管長桐山靖雄(1921-2016)により創立された阿含・桐山杯という棋戦はこれから安泰であると表している。
(記事 / 写真:楊爍)
威孚房開杯中国囲碁棋王争覇戦は2003年(平成15年)に創立された。時代の変化とともに賞金額が原因で、トップ棋士の間では人気がなくなってきている。
中国囲碁界の第一人者である柯潔九段(22歳)は、優勝賞金が15万元(約230万円)のこの棋戦の参戦権を三年連続放棄している。一方で、比較的早く結果が出るという利点は、多くのトップ棋士に好まれている。
第15回威孚房開杯は2019年9月10日に北京で行われた。第1回戦で范廷鈺九段(23歳)は謝科七段(19歳)を負かした。
その後、柁嘉熹九段(28歳)とともに第21回中国阿含・桐山杯の決勝戦に参加するため、青島の嶗山へ向かった。そのため、9月11日に開催予定だった威孚房開杯の第2回戦は9月18日に延期された。
青島では、范九段はついに阿含・桐山杯で優勝するという夢を実現させた。その後、北京へ舞い戻り、謝七段と同じ2000年生まれの実力者である後輩の丁浩六段(19歳)を打ち破った。
2018年の第14回威孚房開杯では范九段は第1回戦で丁六段に負けている。しかし、今年は去年とは正反対の結果となり、まるで何かを暗示しているようだ。
11月28日から30日にかけて、8強戦から決勝戦後半の試合が江蘇無錫で行われた。
勝利の女神を携えた范九段は、勢いよく勝ち進んでいった。柁嘉熹九段、檀啸九段(26歳)、そして同年齢である芈昱廷九段(23歳)の三人の世界チャンピオンに勝ち、威孚房開杯で初優勝を飾った。
范九段は、今年度の中国の囲碁タイトル戦のうち阿含・桐山杯と威孚房開杯を獲得し、二冠となった。
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若手棋士にとって、参加できる中国の棋戦は三つある。この三つともタイトルに「新」という字が入っている。新鋭戦、新人王戦、及び新初段争覇戦である。この3棋戦のうち、新初段争覇戦は年齢を問わないが、当年度の新初段しか参加できない。新人王戦は「精鋭戦」と似ており、年齢が要件を満たしていても、ランキングの32位までしか参加できない。福建省が主催する新鋭戦だけが18歳以下の全ての男性棋士と20歳以下の全ての女流棋士に向けたオープン戦である。
第3回博思杯新鋭戦は10月21日から23日にわたり、北京で行われた。参加者は64名だ。2006年(平成18年)生まれの呉依銘二段、傅健恒初段は最年少だ。そして、2002年(平成14年)生まれの女流棋士方若曦三段は瞿鳴初段(15歳)、周泓余五段(16歳)に連勝し、唯一8強に入った女流棋士となった。
11月22日から24日、8強戦から決勝戦に至るまでの試合は福建省福州市博思ソフト園で行われた。男性優位と言われる囲碁界では、若い棋士間の棋戦は女流棋士にとって容易に突破できるものではない。於之瑩六段(22歳)が2014年(平成26年)に、周泓余五段(16歳)が2019年(令和元年)に新人王戦で優勝したことに続き、方若曦三段は陳一純二段(18歳)、石豫来三段(18歳)に勝ち、決勝戦に進出した。しかし、最後の一歩で躓いてしまった。決勝戦では、劉宇航四段(18歳)が方若曦三段に勝ち、初の棋戦優勝を果たした。
劉四段は、今年の初めに新人王戦の決勝戦でミスが原因で周五段に敗れ、敗者の烙印を押された。今回の優勝で、劉四段は「女流棋士には勝てない」というイメージを大きく変えた。ちなみに、本棋戦の第1回目の優勝者は伊凌濤七段(19歳)、第2回目の優勝者は陳梓健七段(19歳)である。
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マインドスポーツ大会は、中国特有の大会だ。その歴史は20世紀の1950年代に誕生した全国運動会まで遡る。20世紀の1990年代、囲碁は全国運動会の一員から「全国スポーツ大会」の一員となった。21世紀以降、全国スポーツ大会も行われなくなり、囲碁はほかのボードゲームやカードゲームとともに、「全国マインドスポーツ大会」に加盟することとなった。
全国マインドスポーツ大会は、2009年(平成21年)に四川省成都市で初めて開かれた。第2回は、2011年(平成23年)に湖北省武漢市で行われた。それ以降、2年に1度開催されていた大会は4年に1度に変わり、開催地も省都から離れた。第3回は2015年(平成27年)に山東省棗庄市で行われた。第4回は、2019年11月9日から18日まで浙江省衢州市で行われた。
運動会形式のため、開催地は4年前にすでに決まっている。衢州は、中国の囲碁伝説である「爛柯」の発祥地として、今大会に強い文化的要素を印象付けた。大会期間中、中国囲碁協会は「習近平総書記の囲碁文化推進に関する重要指示を学習し達成する」というテーマで報告会を開き、さらに強い時代的特徴を表した。
大会は、男性棋士団体戦、女流棋士団体戦、男性棋士個人戦、女流棋士個人戦、男性棋士個人早碁戦、女流棋士個人早碁戦、ペア碁戦、全民団体戦、大学生戦、アマチュア男性個人戦、アマチュア女性個人戦の11項目に分かれ、36の省・市から600人近くの選手が参加した。伝統の中心地である上海は全民団体戦、ペア碁戦、大学生戦、女流棋士個人早碁戦の四つの項目で優勝し、最も活躍した地区となった。山東省の江維傑九段(28歳)、安徽省の李小渓三段(25歳)はそれぞれ男女棋士個人戦で優勝した。男女棋士団体戦は浙江チームと江蘇チームが勝利を収めた。
(記事 / 写真:楊爍)